ジャーナリングでいちばん難しいのは、時間を作ることではないかもしれません。白紙のページを開いて、何か大事なことを書かなければいけない気がしてしまうことです。でも、そんな必要はありません。役に立つ日記は、ありふれた細かいことひとつから始めて、そこから広げていけば十分です。読み返す価値のある日記の多くも、そうやって始まっています。
いま起きていることから書き始める
1日をまとめようとするのではなく、いまの瞬間に名前をつけてみましょう。電話を待っているのかもしれませんし、ある会話を頭の中で何度も思い返しているのかもしれません。夕飯に何を作るか迷っているだけかもしれません。具体的なことがあると、考えの足場ができます。
「いま、ずっと考えているのは……」という文を完成させてみてください。最初に出てきた答えは直さないこと。目的は気の利いたことを書くことではなく、考えを目に見える形にすることです。
最初の1行はたいてい平凡なものになりますが、それで正解です。振り返りが起きるのは3文くらい書いたあとで、そのためには平凡な出発点が必要なのです。
2つ目の問いかけに任せる
最初の1文は、たいてい日記全体ではなく入り口です。書けたら、やさしい問いかけをひとつだけ続けてみましょう。これの何が自分にとって大事なのか。どうなってほしいと思っているのか。どの部分から目をそらしているのか。
選ぶ問いかけはひとつだけにしてください。インタビューのようになると、ジャーナリングは疲れるものになります。よい問いかけは、結論を急かさずに考える余白を作ってくれます。
- ここで、まだ終わっていない感じがするのは何?
- 何があれば、これが少し楽になる?
- この瞬間について、覚えておきたいことは何?
本当に手を止めているものは何?
「何を書けばいいかわからない」は、よく見るともっと具体的な何かであることが多く、それに名前をつけるだけで力の大半が抜けていきます。多いのは、書く価値のあることでなければいけない、という思い込みです。
誰かに読まれている感覚が原因のこともあります。自分しか見ない日記でも、です。それが手を止めているなら、あとで消すつもりで最初の日記を書いてみてください。消してもいいと思えるだけでたいてい十分で、書いたものはたいてい残す価値があります。
- 面白い内容や上手な文章でなければいけないと思っている。
- どこで終わればいいかわからず、始められない。
- あとで誰かに読まれるかもしれないと、どこかで想像している。
- 書いたら気分がよくなるはずだと期待していて、そうならないのが怖い。
どこで書くのをやめればいい?
教訓にたどり着く必要はありません。正直な2分間で十分です。まだ書けることが残っているうちにやめると、次に戻りやすくなることさえあります。次の日記で続きから書ける糸口が、もう用意されているからです。
最初の1週間に期待しすぎないことも大切です。始めのころの日記は、気づきを得るためではなく、書き始める練習です。何がわかったかで評価すると、いちばん早くやめてしまいます。
続けるコツは、手間の少ない習慣にすることです。ひとつ気づき、一度だけ掘り下げ、保存する。続けるうちに、小さな日記が、何がくり返し戻ってきて、何が静かに変わっていったのかの記録になっていきます。
大事なことではなく、具体的なことから
白紙のページの悩みは、ほとんどの場合、範囲の問題です。日記には意味のあることを書くべきだと無意識に決めていて、今日はそれに当てはまることがない。だから書くことがない、となってしまうのです。
解決策は、深いことを必死に探すのではなく、テーマのハードルを下げることです。何を食べたか。職場までの道はどうだったか。誰かに言われて、ずっと頭から離れない一言。いま、やるのを避けていること。
これは本番の前の準備運動ではありません。材料が本当にあるのは、具体的な細部の中です。意味は、あとで読み返したときに気づくものです。そしてそれはたいてい、深いことを書こうとした段落ではなく、具体的なことに結びついています。
この方法は、しくみの上でも問題を解決してくれます。具体的なことは、いつでも必ずあります。意味のあることは、ない日もよくあります。
何も浮かばないときに使える5つの書き出し
どれも最初の1文を用意してくれます。本当に難しいのは、その1文だけです。
- 「いま私は……」:部屋、音、体が何をしているかなど、いまの状況をそのまま書く。気づきは必要なく、それでいて確実にどこかへつながっていきます
- 「ずっと書かずにいることは……」:まっすぐな書き出しで、たいてい2行以内に本当に書きたいことが出てきます
- 「今日はまあまあだった。ただ……」:その「ただ」が日記の本題です
- 近くにあるものをひとつ、3文で描写する。無意味に思えますが、意外なほどよく効きます。評価するモードから、気づくモードに切り替わるからです
- 「元気かと聞かれたら「__」と答えるけれど、本当のところは「__」」
最初の日記はどれくらいの長さがいい?
やめるときに「やっと終わった」ではなく「ここでやめよう」と思える短さです。始めたばかりの人なら、たいてい3〜5文くらいです。
短くするのは、自分にやさしくするためではありません。最初の日記の長さが、頭の中での約束の大きさを決めてしまうからです。始めのころに1ページ書いていると、疲れた火曜日に「今日1ページ書けるか」を考えることになり、正直な答えはたいてい「無理」です。始めのころの日記が4行なら、そんなことを考える必要はそもそもありません。
長い日記は、それが必要な日に自然と書けます。大事なことが出てきている最中に、文の途中でやめる人はほとんどいません。短いのを基本にするのは、それ以外の日のためです。そして、ほとんどの日はそういう日です。
この記事は「日記の始め方」の一部です。始めるために必要なことをまとめました。初日に何を書くか、1回にどのくらい書くか、紙とアプリのどちらを選ぶか、最初の1週間のあとも続けるにはどうするか。